法隆寺宝物館
支店長の池田です。
先日は「文化の日」という事で各地の文化施設の入場料が無料になっていましたね。
私もその恩恵にあずかるべく上野にある東京国立博物館に行ってきました。
連日大行列で話題の「国宝展」…には目もくれず(そもそもチケットの予約も取れませんが)同じ敷地内にある法隆寺宝物館を見学してきました。
博物館の奥にひっそりと建つこの建築はモダニズム建築の巨匠、谷口吉生氏による設計です。
谷口氏の建築の特徴と言えば何といってもその端正な作りです。石やタイルなどを使い水平、垂直、ラインを通す事にこだわりがあり他の建築ではなかなか感じられない緊張感があります。
床から壁、天井までピッシリとした目地割りでもし自分がこの建築の実施設計、現場監理の担当だったらと考えると胃が痛くなってくるような程細部まで行き届いた緊張感を感じられます。
そんな緊張感を代表するような部分がこの防火扉の納まりです。
みなさんは普段美術館に行って防火扉の納まりなんて気にも留めないとは思います。
そもそも防火扉など法的な規制の為に必要な部材なんて美術館としたら美術鑑賞のノイズなだけなのでなるべく存在感を無くしたいものではあります。
扉には稼働するドアの部分と壁との取り合いで納まり上必要になる枠の部分とがありますが、この扉の枠をよく見てください。
なんと隣にある防火シャッターのレールを兼用する形にしてノイズになる部材を可能な限り無くす事を目指しているんです。
建築関係者ならこれでお酒が飲めるくらい凄い執念の納まりです。そのためにシャッターのレールまでもが特注製になっているので予算の事を気にしたらそれはそれでお腹が痛くなりそうですが…。
さて、そんな緊張感の味わえる法隆寺宝物館で1か所だけ目地がずれている場所があります。
それはこの南側の階段。
他はピッタリ合っている目地がこの部分だけ微妙にズレているんですね。
そんな法隆寺宝物館、みなさんも国宝展に来た際にはついでに寄ってみてはいかがでしょうか?
それではまた。