磯崎新-水戸芸術館を創る-
こんにちは支店長の池田です。
先日本社のある水戸に行く用事があったので水戸芸術館で開催されている「磯崎新-水戸芸術館を創る-」の展示を見学して来ました。
磯崎氏が去年亡くなった事を受けての展示でした。
磯崎氏と言えば水戸芸術館やつくばセンタービルなどいくつもの作品がある茨城に所縁の深い建築家です。建築家の丹下健三に20年師事し、社会や国家のあるべき姿や目指すべき方向を語る最後の建築家だったと言っても良いかもしれません。
その磯崎氏の設計した建物が水戸芸術館です。
一見、それぞれの棟がバラバラの形状をしていて統一感が無いようにも見えますが、一つ一つの棟をそれぞれの西洋建築になぞらえて作り、この一つの建物に西洋建築史の一連の流れを表すという私たち凡人では到底考えつかないような事をやっているからなんですね。
そして水戸芸術館のシンボルと言えばこのタワー
水戸市民にはおなじみのタワーですが、このタワーの形状の検討段階の資料も数多く展示されていました。
もしかしたら水戸のシンボルはまた違った形をしていたかもしれないですね…。
磯崎氏はプロポーザルなどでそのパースをシルクスクリーンの版画で表す事が多くありました。
なぜ版画なのかと聞かれた時に氏はこう答えています。「私の建築はおそらく100年後には残っていないだろう。ただし紙は残る。」
紙の何百倍も強く巨大なコンクリートの建築物よりも紙の方が残るというのは何とも皮肉の強い言葉ですが、都市の成長は古いものを壊した上にしか生まれないという氏の考え方を良く表しているのだと思います。
それは後年は自身の作品を作る事よりも新しい才能を見出す事に注力した姿勢にも表れています。
コンペなどの審査員を多く引き受け、安藤忠雄や妹島和世、レム・コールハース、ザハ・ハディドなどその才能を見出された建築家が今の時代を作っているのもまさに氏の建築的な行動と言えるでしょう。
小さな展示でしたがとても勉強になった一日でした。それではまた。